内分泌疾患

白血球数

白血球数

検査の目的 

血液中1µLあたりの白血球数を測定し、炎症性疾患の把握や血液疾患の診断と経過観察をする。

生物学的基準範囲又は臨床判断値

 基準範囲:1~4歳 40~124×102/μL  5~14歳 34~100×102/μL
 15歳以上 31~95×102/μL(男性)  28~90×103/μL(女性)

臨床的解釈 

白血球数には種々の要因による生理的変動がみられ、日内変動(朝方で低値)、季節間変動(冬に高値)も認められる。健常人における白血球数は報告者によってかなり異なるが、3000~10000/μLを逸脱した場合に疾患との関連を疑う有意な増減ととらえることが多い。
白血球数増加をきたす疾患を表1にあげる。白血球数増加症においては、腫瘍性なのかその他の原因による増加なのかの鑑別が重要である。
白血球数の減少は分画の中で主体を占める好中球の減少であることが多く、リンパ球の減少は比較的まれである。白血球数減少をきたす疾患を表2にあげる。炎症マーカーの結果などにより感染症が疑われ白血球減少を認めた場合、通常はウイルス感染あるいは特殊な病原体による感染症を考える。細菌感染症でも敗血症などを合併した重症例では白血球数は減少することがあり、また、チフスでは白血球数減少をきたすことが知られている。

白血球増加をきたす疾患

Ⅰ.血液・造血器疾患
 (A)造血器腫瘍:急性白血病(芽球の増加)、慢性骨髄性白血病、慢性好中球性
   白血病、慢性リンパ球性白血病、骨髄増殖性疾患群
 (B)その他:溶血性貧血、
Ⅱ.感染・炎症性疾患
 細菌性感染症、急性全身性・局所性炎症
Ⅲ.組織の急性崩壊・壊死
 心筋梗塞、広範な熱傷、壊疽
Ⅳ.中毒性疾患
 薬物中毒、昆虫毒、異種蛋白の非経口投与、化学物質による中毒
Ⅴ.代謝障害
 尿毒症、アシドーシス、妊娠中毒症、痛風
Ⅵ.急性出血
Ⅶ.その他
 ステロイドホルモン剤投与、Cushing症候群、G-CSF投与後、CSF産生腫瘍、無顆粒
 球症や癌化学療法後の回復期、原発性・家族性・周期性好中球増加症、など

白血球減少をきたす基礎疾患・病態

● 好中球減少症
Ⅰ.感染症
 (A) 細菌感染症:チフス、パラチフス、ブルセラ症
 (B) ウイルス感染症:インフルエンザ、麻疹、風疹、水痘、急性肝炎、伝染性単核球
   症、AIDS、オウム病
 (C) リケッチア感染症:発疹チフス、ロッキー山紅斑熱、恙虫症
 (D) 原虫感染症:マラリア、カラ‐アザール、回帰熱
Ⅱ.重症感染症
 粟粒結核、敗血症
Ⅲ.理学的因子、化学物質、薬剤によるもの
 (A) 曝露量依存性に骨髄障害・抑制をきたすもの:放射線、抗腫瘍剤、ベンゼン、
   ウレタン
 (B) 免疫・アレルギー性機構によるもの:薬剤誘発性血球減少症(無顆粒球症)
Ⅳ.血液疾患
 (A) 骨髄における造血抑制あるいは血球産生障害:再生不良性貧血、骨髄異形成症候
  群、巨赤芽球性貧血、鉄欠乏性貧血
 (B) 血球の消費・破壊亢進、分布異常:脾種を伴う肝硬変、SLE、Felty症候群、
  Banti症候群、Gaucher病、発作性夜間血色素尿症、血液透析
Ⅴ.骨髄占拠病変
 急性白血病、癌の骨髄転移
Ⅵ.原発性・遺伝性好中球減少症
 家族性周期性好中球減少症、良性家族性好中球減少症
Ⅶ.その他
 悪液質、衰弱、アルコール中毒
 アナフィラキシ―ショック、異種蛋白に対するアレルギー反応など

● リンパ球減少症
Ⅰ.悪性腫瘍化学療法後、放射線照射
Ⅱ.ステロイドホルモン投与、Cushing症候群
Ⅲ.原発性免疫不全症候群
  胸腺無形成症、重症複合免疫不全症、Wiskott-Aldrich症候群など
Ⅳ.後天性免疫不全症候群
Ⅴ.リンパ組織破壊
  悪性リンパ腫、汎発性結核性リンパ節炎
Ⅵ.自己免疫疾患(SLE)

可能性のある変動要因

(1) 採血条件
 1) 検体が凝固している場合(血小板凝集、フィブリン析出)している場合に高く報告され
  ることがある。
 2) 検体量が極端に多い場合、少ない場合
 3) 輸液混入の場合に希釈による偽低値を示す。
(2) 生理的変動
 1) 新生児、幼児(リンパ球増加)
 2) 月経時
 3) 妊娠(後期で増加)
 4) 運動
 5) 季節(冬に高値)
 6) ストレス、疼痛などによる精神的興奮
 7) 陣痛
 8) 寒冷曝露
 9) 麻酔
 10) 直射日光、紫外線曝露
 11) 発作性頻拍症、痙攣
 12) 過度の喫煙



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