内分泌疾患

Cl

Cl(クロール)

検査の目的

血清又は血漿中のCl濃度の測定を目的とする。
Clは血漿中および細胞外液にある主な陰イオンで、Naとともに血中浸透圧物質としてその大部分を占めている。したがって血中Cl濃度は原則として血中Na濃度とほぼ並行して動きNa濃度異常を起こす病態は同時にCl濃度異常も起こす。

生物学的基準範囲又は臨床判断値

 99~107mmol/L

警戒値/緊急異常値、異常時報告値

 70mmol/L以下または、130mmol/L以上

臨床的解釈

Clは細胞外液に存在する主要な陰イオンで、Naとともに血中浸透圧物質としてその大部分を占めている。ClはNaと並行して増減し細胞外液の電気的中性を維持する働きと、HCO3または他の陰イオンと逆向きに変動することによって細胞外液の総陰イオン濃度を一定に保つ働きがある。したがって、Cl代謝異常の多くは、Na代謝異常に伴うか、HCO3の変動する酸塩基平衡異常または他の陰イオンの変動に伴うかのいずれかである。代謝性アルカローシスや呼吸性アシドーシスでは、HCO3が増加するので、血清Cl濃度が上昇する。アニオンギャップが増加する代謝性アシドーシスでは、アニオンギャップが増加分だけHCO3が減少するので、血清Cl濃度は変化しない。
尿Cl濃度の意義はNaと同様に体液量の状態を反映するが、酸塩基平衡異常を伴う場合は必ずしもそうではない。嘔吐によりHClが喪失し代謝性アルカローシスをきたしている場合は、体液量減少のため腎での再吸収が増加するので尿中Cl濃度は低下するが、尿中NaHCO3排泄が亢進するため、尿中Na濃度は低下せず、血清NaとClが乖離することがある。

可能性のある変動要因

採血時のうっ血により、PaCO2が蓄積すると、赤血球からHCO3-が放出され、それと交換にClが細胞内に入り、血清Cl濃度は低下する。また、全血の放置によりPaCO2が低下し、血清Cl値が上昇する。
Cl電極はハロゲンイオンの影響を受け、血清のブロムやヨード濃度が高いと高Cl血症と誤認されることがある。ブロムを含む薬剤は麻酔薬のフローセン、鎮痙鎮痛薬のブスコパン、筋弛緩薬のミオブロック、向精神薬のイソプロメンの他、市販の風邪薬などがあり、ヨードを含むものには造影剤がある。



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