内分泌疾患

中性脂肪

中性脂肪

検査の目的

血清又は血漿中の中性脂肪の測定を目的とする。
トリグリセリド(TG)はカイロミクロン(CM)、VLDL(超低比重リポ蛋白)といった大型のリポ蛋白に主として含有されている。CMは小腸で作られるリポ蛋白で、異化速度は非常に速く食後6時間後にはほとんど血中より消失している。CMはアポ蛋白C-II存在下にリポ蛋白リパーゼの作用を受けて代謝されるため、アポ蛋白C-IIやリポ蛋白リパーゼの欠損状態では高トリグリセリド血症を生じる。リポ蛋白リパーゼとアポ蛋白C-IIは肝臓で作られるVLDLの異化にも関与している。肝臓でのVLDL合成は肝内のトリグリセリド合成に比例して増加することが多い。したがって、糖尿病、糖質過剰摂取、脂肪肝などではVLDL合成が促進し高トリグリセリド血症を呈する。
CMやVLDLの異化にはアポ蛋白Eが重要な役割を果たしている為、アポ蛋白Eに異常がある疾患(家族性III型高脂血症、アポ蛋白E欠損症)ではCMやVLDLやそのレムナント(代謝物)の蓄積が起こりうる。
高トリグリセリド血症は動脈硬化症の危険因子であるとともに、極端なものは急性膵炎の原因となりうるので治療が必要となる。
逆にアポ蛋白Bの合成障害(低βリポ蛋白血症)や、VLDLやCMのassemblyの異常(無βリポ蛋白血症)では、VLDLやCMが減少し低トリグリセリド血症となる。

生物学的基準範囲又は臨床判断値

 150mg/dL以上

臨床的解釈

脂質検査の役割
検査目的 動脈硬化性疾患診療におけるリスク評価
動脈硬化性疾患、特に虚血性心疾患の成因に関しては、動脈硬化を促進する種々の危険因子の関与が知られている。中でも脂質異常症は最も科学的根拠の確立した危険因子として位置づけられている。
脂質異常症(dyslipidemia)とは、血液中の脂質、つまり総コレステロール、LDL-コレステロール、HDL-コレステロール、トリグリセリドのうち、少なくとも1つが病的範囲にある病気のことをいう。総コレステロール値はLDL-コレステロール、HDL-コレステロール、トリグリセリドを反映した数値(総コレステロール=LDL-コレステロール+HDL-コレステロール+トリグリセリド/5)が脂質代謝異常を直接的に反映している。
脂質の種類と役割

可能性のある変動要因

 男性優位
 食後高値
 日差変動が大きい



*肉や魚・食用油など食品中の脂質や、体脂肪の大部分を占める物質。単に脂肪とも呼ばれる。

中性脂肪は肉や魚・食用油など食品中の脂質や、体脂肪の大部分を占める物質です。単に脂肪とも呼ばれますが、脂肪酸が3本、グリセロールと呼ばれる物質で束ねられた構造をしており、中性を示すことからこの名で呼ばれています。

*その構成成分である脂肪酸は、動物性脂肪では飽和脂肪酸が多く、バターやラードのように常温では固体として存在します。それに対して植物性脂肪では、不飽和脂肪酸が多く液状です。

中性脂肪は人や動物にとって重要なエネルギー源であり、脂溶性ビタミンや必須脂肪酸の摂取にも不可欠ですが、とりすぎると体脂肪として蓄えられて肥満をまねき、生活習慣病を引き起こします。

血液中の中性脂肪の値が150mg/dl以上になると「高トリグリセライド血症」とされ、メタボリックシンドロームの診断基準にも盛りこまれています。 日本人の脂質エネルギー比率(摂取エネルギーに占める脂肪の割合)は戦後急激に上昇し、これに伴って肥満も増加してきたことから、「健康日本21」では20代〜40代成人の脂質エネルギー比率を25%以下にする目標を掲げています。



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