内分泌疾患

Zn

亜鉛(Zn)

検査の目的

血清中の亜鉛の測定。
亜鉛(Zn)は、鉄(Fe)と同じように、人間の身体にとって欠かせない「必須ミネラル」の一つです。
体内に存在する亜鉛の量は成人で1.5g~3gとわずかで、必要とされる量も少ないのですが、身体のさまざまな仕組みの中で多様な働きをしている重要なミネラルです。
具体的な亜鉛の働きは、酵素の成分になる、酵素を働かせる、細胞における情報伝達の役割を担っています。
亜鉛が関与する身体の機能は、全身におよび、次のようにとても多彩です。
・味覚の維持
・免疫力を保つ
・生殖機能を保つ
・健康な皮膚を保ち、脱毛を防ぐ
・子どもの身長の伸び
・精神・行動への影響
・肝臓の働きを保つ
亜鉛が不足すると、これらの働きに何らかの不調が生じ、体調不良につながります。

「日本人の食事摂取基準(2015年版)」(厚生労働省)によると、推奨される1日の亜鉛摂取量は、成人男性で10mg、成人女性で8mg(妊婦は+2mg、授乳婦は+3mg)です。

基準値

 80~130(μg/dL)
人間の体内では亜鉛が過剰にならないよう調節システムが働いています。
口から入った亜鉛は、胃ではほとんど吸収されず、十二指腸や空腸で吸収されますが、吸収率は20~40%ほどです。吸収された亜鉛は肝臓に運ばれ、その後全身に分布します。亜鉛が最も多いのは筋肉(60%)で、次に骨(20~30%)、皮膚・毛髪(8%)、肝臓(4~6%)、消化管・膵臓(2.8%)、脾臓(1.6%)という順になります。
十二指腸や空腸で吸収された亜鉛のほとんどは糞便を介して体外へ排出されます(尿や汗からも微量が排泄されます)。
亜鉛は、人間の身体内で作ることができない必須成分です。体内で使われて消失した分を補充しなければなりません。そのため、毎日、食事等で亜鉛を体内に取り込む必要があります。

臨床意義

亜鉛代謝異常は種々の疾患でみられますが,亜鉛欠乏症は微量元素欠乏症の中でもっとも頻度が高いため重要とされています。
亜鉛欠乏症の示す症状としては,成長遅延,性機能低下,皮膚炎,食欲減退,味覚・嗅覚の減退,脱毛,創傷治癒の遅延,嗜眠,うつ状態などの精神・神経症状など多彩な症状が認められます。

上昇する疾患
γ腺照射後, 好酸球増多症, 甲状腺機能亢進症, 赤血球増多症, 本態性高血圧症, 溶血性貧血
減少する疾患
クローン氏病, ネフローゼ, 亜鉛欠乏症, 亜急性細菌性心内膜炎, 悪性リンパ腫, 悪性貧血, 肝癌, 肝硬変, 肝膿傷, 肝不全, 急性肝炎, 再生不良性貧血, 糸球体腎炎, 心筋梗塞, 多発性骨髄腫, 多発性神経炎, 腸管ベーチェット, 長期の高カロリー輸液時, 潰瘍性大腸炎, 鉄欠乏性貧血, 白血病, 閉塞性黄疸, 慢性肝炎, 陽性肢端皮膚炎

患者準備,採取・提出上の注意

・溶血検体は使用不可
・採血後は速やかに血清分離を行う



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