内分泌疾患

腎症

腎症

腎臓は、血液の中の老廃物をろ過して尿を作る臓器です。
腎臓の内部には、細い血管が球状に密集しています。糖尿病の治療が不十分な状態が続いていると、それらの血管が傷められ、「血管障害」が進行します。それが「腎症」です。

糖尿病で高血糖の状態が長く持続すると、組織のたんぱく質に血液中のブドウ糖が結合した物質が増えて、全身の小さな血管を傷めつけ血管が詰まったり破れたりします(糖尿病性細小血管症)。腎臓の濾過装置である糸球体は細い血管が多いのでこれが起こりやすく、その結果腎機能が低下したものを糖尿病性腎症と呼んでいます。

腎症になっても、実は、自覚症状がほとんどありません。自覚症状に現れないままさらに進行していきます。「腎臓が悪いと足がむくむ」ということは、よく知られています。しかし、むくみという症状は腎臓の働きがかなり低下していることを示すもので、病気の進行レベルとしては、透析治療も考えないといけない時期に近い段階です。
腎症の病期 (段階) は、腎臓の機能に障害がまったくない第1期から、腎症が進行し、透析が必要になる第5期までに分かれています。病期の診断は、尿中にどれくらいの量のタンパク質 (アルブミン) が排泄されるかと、腎臓の機能を表す検査値 (糸球体ろ過量:GFR) がどれくらい低下しているかという2つの指標を組み合わせて行います。

糖尿病性腎症病期分類
糖尿病性腎症病期分類

糖尿病による腎症のために人工透析が必要になる患者さんは決して少なくなく、毎年1万数千人にのぼります。これは透析治療を新たに開始する理由の第1位で、年々、2位以下を引き離しながら増え続けています。

糖尿病性腎症を発症した場合に進行を防ぐためには、早期診断が重要です。自覚症状がない頃から定期的に尿検査を受けることで、尿中に排泄されるタンパク質 (アルブミン) がごく微量にとどまっている初期の「微量アルブミン尿」の段階で、腎症を診断することができます。また、腎症の診断前から高血糖高血圧をしっかりと治療しておくことも大切です。

糖尿病性腎症早期診断基準

試験紙法で尿蛋白が陰性あるいは+1程度の陽性を示す糖尿病症例を対象に、午前中の随時尿でアルブミンを測定し、3回中2回以上尿アルブミン値30~299mg/gCrであれば微量アルブミン尿と判定します。
また、 腎肥大、尿中IV型コラーゲン値上昇は糖尿病性腎病変の存在を示唆します。
これらを参考に非糖尿病性腎疾患由来の微量アルブミン尿を鑑別し、糖尿病性腎症を早期診断します。



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