内分泌疾患

K

K(カリウム

検査の目的

血清又は血漿中のK濃度の測定を目的とする。
体内総カリウム(K)量の98%は細胞内に存在し、細胞外液中に含まれるカリウムは全体の2%である。1日の摂取量は約70mEqで、摂取された量の90%は尿中に排泄され、糞便中に約10%が含まれるので、皮膚を介して体外へ失われる量はごくわずかと考えられる。血清Kの恒常性は、腎からの排泄と細胞内外の分布を調節することにより維持される。カリウム濃度の異常は、細胞膜の機能に重大な影響を及ぼし、神経・平滑筋・心筋などの重篤な機能障害を引き起こすことが知られている。

生物学的基準範囲又は臨床判断値

 3.3~4.5mmol/L

警戒値/緊急異常値、異常時報告値

 2.5mmol/L以下及び7.0mmol/L以上

臨床的解釈

体内K総量のうち98%は細胞内に存在し、細胞外液中に含まれるKは全体K量の約2%である60~80mEq にすぎない。このため細胞内外のK移動により容易に血清K濃度は変わりうる。この移動に影響する因子として、酸塩基平衡状態、インスリンカテコールアミンなどがある。細胞内のK濃度は細胞外液(血清)より30~40倍高いため、溶血により高値となる。溶血以外にも同じ原理で凝固、血清分離の過程で血球内のKが遊離してくる。特に白血球数5~10万、血小板数50万以上でみられることがあり、偽性高K血症とよばれる。この場合ヘパリン採血による血漿K値は上昇しないことで判断できる。
1日のK摂取量は約50~100mEqで正常ではその90%以上は尿中に排泄される。したがって、K代謝の恒常性はほとんど尿中K排泄の調節によって規定されているといってよい。この尿中へのK排泄は皮質部集合管におけるK分泌によって決定され、①K摂取量、②アルドステロン、③集合管の尿流速度、Na到達量、④非再吸収性陰イオンの存在、などの因子に影響される。
低K血症の原因は摂取不足か腎外性喪失であるかを考えればよく、尿中K濃度が鑑別に有用である。高K血症の原因としては腎機能低下時での摂取過多か、腎からの排泄低下に大きく分類される。そしてこれら体内バランスの異常をきたす病態以外に、細胞内外の移動による因子を考慮すればよい。6.5mEq/L以上の高K血症には緊急対応が必要である。
2mEq/L以下の低K血症も筋力低下から呼吸筋低下を生じ、横紋筋融解を起こすことがあり、治療を急ぐ必要がある。

可能性のある変動要因

偽性高K血症を除外する(白血球増加症、血小板増加症)
検体の溶血(あればLDHも異常高値となる)がないか、採血時の抗凝固剤がKを含んでいないか(EDTA-K、ヘパリンKなど)にも注意する
随時尿で尿K濃度を測定し、腎性か腎外性か判断する
血液ガスを調べ、酸塩基平衡を評価する。薬剤の影響も考慮する
低K血症と代謝性アシドーシスの組み合わせは、下痢と尿細管性アシドーシスの場合しかない



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