★コレステロールについて詳しく★
★コレステロールについて詳しく★
コレステロールには、LDLコレステロールとHDLコレステロールがあります。
コレステロールは髪や皮膚を滑らかにし、細胞を包む細胞膜・ホルモン・脂肪の消化吸収を助ける胆汁酸の原料です。
コレステロールが足りないと、肌や髪はパサパサになったり、細菌に感染しやすくなるばかりではなく、血管の細胞が弱くなって脳内出血などが起こりやすくなります。
血液には水分が多く含まれているので、油であるコレステロールは「水と油の関係」です。フレンチドレッシングのように分離してしまい、血中を流れることができません。そこで、油であるコレステロールをアポ蛋白という水に溶けやすいタンパク質で包み込み、水に溶ける小さな粒子となって血中を流れるように加工されています。
リポ蛋白の粒子は比重の大小で分類され、低比重リポ蛋白をLDL、高比重リポ蛋白がHDLと呼ばれます。
LDLコレステロールは肝臓で作られたコレステロールを全身に運ぶ働きがあり、増えすぎると動脈硬化を起こすので、悪玉コレステロールと言われています。
HDLコレステロールは、余剰なコレステロールを回収するコレステロールで、体の中でダブついた余分なコレステロールをかき集め、肝臓に運んで消却する役目を担っていて、善玉コレステロールと言われています。
コレステロールの食事前後での変動幅は、中性脂肪と違って大きくありません。数日〜数週間かけてゆっくり変化します。
通常、血液中のLDLとHDLは一定量に保たれています。
LDLコレステロールが過剰になると、HDLコレステロールが減ったり、動脈壁に取り込まれて蓄積され、動脈壁が厚くなります。
血液中の脂質によって血管が傷つけられると、血管修復のために血小板が集まり傷をふさぎますが、やがてはがれて血液中を流れる血栓となります。血栓は血管を詰まらせ、心筋梗塞や脳梗塞の原因となります。
コレステロールや中性脂肪は、悪者にされがちです。
中性脂肪は、運動するときのエネルギー源として必要です。運動するときには、まず糖質が使われますが、不足すると中性脂肪が使われます。また、体温を一定に保つのも中性脂肪の大きな役割です。どちらも、増え過ぎると困りますが、なくてはならない重要な役割を担っています。
食事から摂取したコレステロールは全身をめぐり、肝臓などに取り込まれます。
食事から摂取した脂肪やコレステロールは、血液に溶けません。
タンパク質やリン脂質が小腸に取り込まれて「リポタンパク」に変化することで、血流に乗って全身への運搬が可能になります。
リポタンパクは、カイロミクロン・HDL・LDL・VLDLに大別され、それぞれ中性脂肪・コレステロール・タンパクなどの構成が異なります。
中性脂肪が多い「カイロミクロン」、コレステロールの少ない「HDL」は小腸で合成され、全身をめぐります。
中性脂肪とコレステロールを含む「VLDL」は肝臓で合成され、エネルギーが必要な筋肉や脂肪組織に中性脂肪を渡すと、LDLに変化します。
肝臓に運ばれたコレステロールの一部は、胆汁酸となって小腸に排泄され、脂肪の消化・吸収を促進します。そしてほとんどの胆汁酸は肝臓に戻って再利用され、一部は便として排泄されていきます。
コレステロール値が高くなると
動脈硬化が進み、放置すると脳梗塞や心筋梗塞の原因となります。
脳や心臓など太い動脈で、コレステロール値が高いと起きる動脈硬化を、「粥状(じゅくじょう)動脈硬化(アテローム硬化)」と言います。
血管内膜にコレステロールが沈着した泡沫(ほうまつ)細胞が集まると、ドロドロしたおかゆのような塊(アテローム)ができます。
アテロームがどんどんたまって血管の内壁が盛り上がると、血液が通る隙間が狭くなります。
さらにカルシウムがたまって石灰化することで、血管の弾力性が失われ、もろく破れやすい状態になります。
血管内膜を傷つける高血圧や喫煙、糖尿病・肥満・ストレスなどは、粥状動脈硬化を促進する原因となります。
コレステロール値を下げる食品とは?
脂質異常症の原因となる悪玉のLDLコレステロールはどのように減らしていけばよいでしょうか?
脂質異常症にならないために、バランスのよい食事を目指しつつ、食物繊維や大豆タンパクを積極的に摂取しましょう。
できるだけ多種の食品を毎日少量ずつ摂ることで、5大栄養素(タンパク質、脂質、糖質、ビタミン、ミネラル)をバランスよく摂取することが、コレステロール値を正常に保つコツです。
そのうえで、食物繊維や豆類など、コレステロールを下げる食材を積極的に摂るよう心がけましょう。
コレステロール値を下げるには、1日25~30グラムの食物繊維の摂取が効果的です。
目安は、野菜350グラム以上、果物200グラム、いも類100グラム程度。さらに穀物、海藻などもしっかり摂るようにしましょう。食物繊維にはコレステロール値を低下させ、糖質の急な吸収を抑える効果があります。
豆類や大豆製品もお勧めです。大豆タンパクがLDLコレステロール値を低下させます。
緑黄色野菜は、食物繊維が摂取できるだけでなく、抗酸化作用のあるβ-カロテン、ビタミンC・E がたっぷり含まれ、動脈硬化の予防にも効果的です。
コレステロール値を下げるために、生活で工夫するポイント
コレステロール値を下げるために、食事や運動に気を使うのは大事なこと。心がけ次第で改善できることはたくさんあります。
食事で摂取エネルギーを減らす工夫としては、以下のような事柄があります。
・ゆっくり食べる
・夜の間食をやめる
・買い物は満腹時にする
・見えるところに食べ物を置かない
・1人分を盛りつけて食べる
新基準としてnonHDLコレステロール値も説明します
新基準として知っておきたいのが、「non-HDLコレステロール」についてです。
non-HDLコレステロールとは、
悪玉と呼ばれる「LDLコレステロール」
中性脂肪が豊富な「リポタンパク質」
脂質代謝異常により出現する「レムナン」
などを含んだ、動脈硬化のリスクを管理できる指標です。
式で表すと、【nonHDLコレステロール = 総コレステロール - HDLコレステロール】となります。
150mg/dL未満を正常値とし、その数値を上回ると、保健指導判定値を超えるレベルとされます。
170mg/dL以上の場合、すぐに医療機関の受診を勧められます。
LDLコレステロールに加えnon-HDLコレステロールの値も意識することで、脂質異常症をより細かく治療できます。
中性脂肪が高い人などは、LDLコレステロールだけではなく、non-HDLコレステロールの値もチェックしましょう。
コレステロール値の新基準はLH比を重視
コレステロールLH比とは、「LDLコレステロール値÷HDLコレステロール値」と、もとめる比率のことです。
たとえば、LDLコレステロール値が120mg/dLで、HDLコレステロール値が40mg/dLのとき、「120÷40=3」で、LH比は3.0となります。
この場合、LDL、HDLどちらも正常範囲に入っているので、従来なら問題ないように見えます。
しかし、LH比でみると、LH比3.0という値は、動脈硬化が進んでいる「かなり危険な状態」という領域です。
LH比が1.5を下回ると、血管内がきれいで健康な状態を表しています。
2.0を超えると、血管内のコレステロールの蓄積が増えて動脈硬化が疑われます。
2.5を超えると、血栓がある可能性があり、心筋梗塞などのリスクが高いと指摘されています。
LH比(LDL値÷HDL値)は、簡単に計算できます。
コレステロールを見直すきっかけにするといいでしょう。
コレステロール値が新基準より高いとどうなる
nonHDLコレステロール値が170mg/dL以上だと、生活習慣の改善や保健指導を受ける必要があるレベルです。
nonHDLコレステロール値が210mg/dL以上だと、130mg/dL未満の人に比べ、約3〜4倍ほど心筋梗塞や狭心症になりやすいことが分かっています。
LDLコレステロールを減らし、HDLコレステロールを増やすことを意識しましょう。
検査項目説明に戻る