内分泌疾患検査
内分泌疾患検査について詳しく
体の中は、種々の作用を持つ物質がうまく調和して全身の臓器に作用し、人間の生命を維持し生体の恒常性(正常な機能を維持するしくみ)や正常な代謝機能を保っています。
これらの正常な機能を保つのに必要な体の機構が内分泌代謝です。そ して、内分泌代謝の働きをする物質をホルモンと呼びます。
内分泌疾患とは・・・・
ホルモン分泌の異常によって病気がおきます。それらをまとめて内分 泌疾患といいます。
ホルモンの量が多いと、機能亢進、ホルモン過剰となり、ホルモンの量が少ないと、機能低下、ホルモン欠乏となり体に変化をきたします。
ホルモンの働き
ホルモンは甲状腺などの内分泌腺や他にも全身の様々な部位で作られています。これらのホルモンは血液中へ放出され、遠く離れた細胞ま で運ばれて効くものや、近くの細胞に作用するものがあります。
ホルモンが働くには、ホルモンを受け取る窓口が必要で、その窓口を 受容体(レセプター)と呼びます。ホルモンに対する受容体がある標的 細胞だけにホルモンの作用が発揮されます。
ホルモンはそれぞれが異なる働きをもち、消化吸収・循環・呼吸・免疫・代謝など体の調節作用をおこない体の機能がスムーズに働くための潤滑油にもなっています。
ホルモンはできるだけ一定量に保たれるように、体では微妙な調節が 行われており、これを恒常性の維持(ホメオスターシス)といいます。
ホルモンをつくる内分泌臓器
現在、体の中には 100 種類以上のホルモンやホルモン様のものがみつかっています。全身のいたるところでホルモンは作られています。
主な内分泌臓器をあげると・・・
脳下垂体:
小指ほどの大きさで両目と両耳を結んだ線のところにある脳にぶら下がった小さな内分泌臓器です。8種類ほどのホルモンがでて全身に働くことからホルモンの司令塔ともいわれています。
前葉、中葉、後葉にわけられ、それぞれがホルモンを分泌し視床下部 と連結しています。
前葉は6種類のホルモン、成長ホルモン(GH)、甲状腺刺激ホルモン (TSH)、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)、性腺刺激ホルモン(LH,FSH)、 [プロラクチン(PRL)を産生し、血液を介してそれぞれの対応する特定の臓器の機能を調節しています。
後葉は2種類のホルモン、オキシトシン、バソプレッシン(ADH)を産 生しています。
甲状腺:
のどぼとけのすぐ下にあり、蝶が羽を広げたような形をしています。食物中のヨードを材料にして、2種類のホルモ ン(T3、T4)を作っています。
甲状腺ホルモンには体の代謝を調節する働きがあります。
1.新陳代謝を高める ・・・体のエネルギーを作ります
2.交感神経を刺激する・・・体の緊張をうながし、活発にします
3.成長をうながす ・・・こどもの体の成長や発達をうながします
甲状腺ホルモン(T3,T4)の量は、脳下垂体 から分泌される甲状腺刺激ホルモン(TSH)が調整し、さらにTSHは、視床下部から分泌される甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン (TRH)に調節されています。
甲状腺ホルモンが増加すると、TRH や TSH が減少し甲状腺ホルモンの分泌をおさえ、逆に甲状腺ホルモンが減少すると、TRH や TSH は増加し甲状腺ホルモンを分泌させます。
副甲状腺:
マッチ棒の先ほどの大きさで甲状腺の左右、上と下の端に あります。副甲状腺といいますが、甲状腺とは全く別の臓器で「上皮小体」とも呼ばれています。副甲状腺ホルモン (PTH)を作り、カルシウム代謝を調節しています。
副甲状腺ホルモンは、骨から血液中にカルシウムを送り出したり、尿 中へ捨てる量を減らしたりして、血液中のカルシウム濃度を高くする働きがあります。カルシウムは骨や歯の材料になるだけでなく、筋肉の収縮や血液の凝固にも関わる大切な成分ですが、少なすぎても多すぎても体に影響を及ぼします。
このはたらきにはビタミンDとカルシトニンが関わっています。
カルシトニンは、甲状腺で作られ血液中に送られ、副甲状腺ホルモ
ンとは逆に、血液中のカルシウム濃度を低くする働きがあります。
副腎皮質:
腎臓の上にかぶさる平たい三角形の臓器を副腎と呼び、その皮にあたる表面部分を皮質といいます。
3 種類のステロイドホルモン(アルドステロン、コルチゾ ール、DHEA)を作っています。血圧維持やストレス時に大切な働きをします。
副腎皮質ホルモンには主に次の生理作用があります。
1.糖代謝の調節
コルチゾールが関与しています。生体の恒常性維持、ストレスの対応 に最も重要です。たんぱく質や脂肪を分解して糖に変え筋に活力を与 えます。
2.食菌作用、抗炎症作用
コルチゾールが関与しています。
3.電解質代謝の調節 アルドステロンが関与しています。ナトリウムやカリウムなどの電解質を維持しています。
4.性ホルモン作用
DHEA が関与しています。環境の変化(寒さ、暑さ、精神的ショック、 外傷、感染、出血など)に対して副腎皮質が反応して抵抗性を増進さ せます。
☆血液中の副腎皮質ホルモン濃度が低下すると、下垂体の副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)の指令を受けて分泌が増します。また視床下部に調節されています。
副腎髄質:
副腎の中身の部分を髄質といいます。カテコールアミンと 総称されるホルモン(アドレナリン、ノルアドレナリン)を作っています。心拍数、血圧、血管収縮の調整や代謝を促進する働きがあります。
副腎髄質・・・カテコールアミン(主にアドレナリン)を分泌しホルモンと して作用します。
交感神経・・・カテコールアミン(主にノルアドレナリン)を分泌し神経伝 達物質として作用します。
中枢神経・・・神経伝達物質(セロトニン)を分泌しています。
カテコールアミンは、次の生理作用があります。
1.心拍数上昇作用と血糖上昇作用 ・・・ アドレナリンが関与
2.末梢血管が収縮し、血圧上昇作用・・・ ノルアドレナリンが関与
☆ドーパミンは、カテコールアミンの原料となります。
膵臓内分泌:
内分泌細胞が集まったランゲルハンス島が広くちらばっていて、糖代謝の調節をおこなっています。
胃腸:
消化管ホルモンと呼ばれる多数のホルモンが作られ、消化吸収や消化管の運動調節をおこなっています。
卵巣・睾丸:
性腺ホルモンを作っています。
精巣は、精子を作る以外に精巣ホルモンを分泌し、卵巣は、卵子を作 る以外に卵胞ホルモンと黄体ホルモンを分泌しています。
男性ホルモンの作用
☆男性性器の発育
☆二次性徴(ひげ、のどぼとけ、骨格、筋)をつくります。
女性ホルモンの作用
☆女性性器の発育
☆二次性徴(乳腺の発達、骨盤、背部、大腿部の皮下脂肪)をつくります。
その他、腎臓、心臓や血管、脂肪細胞でもホルモンが作られています。
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